ハナミズキ 第三話「あの夜」
ハナミズキ 第三話「あの夜」 隣り合う個室露天風呂を備えた隠れ宿ー。 ノブの説得も虚しく、花は佐野に肩を抱かれ 離れにある隣の部屋へと入っていった。 ノブは一人過去を悔やむうちに、 花に支えられた蜜月の日々を思い出していた。 失いつつあるものの大きさに絶望し、 ただその時を待つことしかできないノブ。 やがて衝立一枚を隔てた隣の露天風呂から 押し殺した声と淫靡な音が漏れ聞こえてくる。 罰を受け入れ苦しみながらも耐えていたノブだったが、 暴走気味に中出しを迫る佐野の声に激昂し 衝立を飛び越え殴り込む。 しかし事態は思わぬ方へ転がっていき、 罰の続行は止められない。 縄や玩具などの道具を使って花の身体を弄び、 傍観するしかないノブをじわじわといたぶるように あえて核心に迫らず遠回りをしてみせる佐野。 「夫を愛するゆえの裏切り」という矛盾した行為によって 徐々に心と身体の辻褄が合わなくなる花。 開いた脚にしたたる液体はとめどなく、 「準備ができている」ことをもはや隠せない。 月明かりと湯煙に包まれるなか、 忌まわしい夜は過ぎていく。 ★本シリーズ「ハナミズキ」は 前作「うらぎりベッドルーム」の...